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レッツ・ダンス

フィギュアスケートの話です。 書き始めたばかりなので、温かく見守ってください。


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アスリートの魂/レッツ・ダンス(#13)

ヒデのシュートが矢の様にゴールに向かう。その真っ正面でキーパーの若竹が余裕の笑顔で待ち受けている。ボールは若竹に軽くキャッチされ、ヒデの顔が凍りつく。ヒデのところに駆け寄る優。
「分かっただろ。さっき言った通りにやろう」
「うるせえ!」
ヒデの目からはボロボロと涙が流れていた。
「こんな試合、もうやめだ!」
「ふざけんな!それでもアスリートかよ!」
「うるせえ!」
ヒデが優を殴り飛ばす。駆け寄る審判。
「退場!」
ヒデはゆっくりと出て行く。
「大丈夫かい?」
「大丈夫です」
ゆっくりと立ち上がる優。
「ヒデ!競技を楽しみながら全力で勝利をもぎ取るアスリートの魂を見せてやる!逃げずにベンチで見ていろ!」
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あのシュートコースが見えないのか/レッツ・ダンス(#12)

決勝戦当日。僕達は後半が始まる頃にグランドに着いた。0対1で負けている。あのチームを一点に抑えるなんてさすがウッチーだ。
「終了15分前に出る」
ヒデはすぐに柔軟運動を始めた。ヒデは一点五分で考える。15分ってことは三点取るってことだ。体を揺るがす大歓声が起きた。後半開始してから五分もたっていないのに二点目だ。ヒデの勘通りってことか。ゆっくりしてられないぞ。
「優くん」
「はい」
「相手のキーパーの若竹はこの大会、一点も取られていない」
「知ってます」
「ヒデも彼から点を取ったことがない。取れるか?」

黙って一発殴られた/レッツ・ダンス(#11)

ヒデがすぐに柔軟を始めたのを見て、僕も慌てて柔軟を始めた。シュートに向けて体を作り始める。それが自然のこととして出きるところが、ヒデはすごいと思った。ヒデはグランドから目を離さない。どこからどうシュートを打つのか、ヒデは感じ取っているのだろう。そんな才能のない僕は、ウォームアップしながら自分なりに分析を始めた。ゴール前にスペースができるところがある。きっとヒデはあそこに走り込む。相手チームのことは、それだけ分かっていればいい。自分の方のチームは守りが堅い。後ろの三人とキーパーの連携がとてもいい。突出した子はいないけど、真ん中の子がキーだ。監督にかなり鍛えられた守備陣なのだろう。攻撃は、正確なパスでコンパクトにまとまっているが、ひどく単調だ。あの一番走ってる子いいな。あの子が敵の攻撃の芽をつぶしたり、こぼれ球を処理してる。そうか、守備陣が安定しているのは、あの子がいるからだ。あの子のプレー、いいな。

僕はそのための練習をしている/レッツ・ダンス(#10)

五年生の優は六年生のシュートを腹で受けて、うずくまり嘔吐している。
「きったねぇの」
『すごい、やっぱりヒデのシュートはすごいよ。ヒデの方がすごいのは分かってる。どうする?頭を使え。アキラ兄だったら、きっとそう言う…アキラ兄…そうか!」
優がにっこりと笑って、立ち上がる。

マザコン野郎、鍛えてやるよ/レッツ・ダンス(#9)

「何回転のアクセルだったの?」
「それは秘密だ」
優はアヤメにニヤリと笑った。
「けちね。アキラ兄って何者なの?」
「施設の先輩。中学を卒業して大学に行った天才」
「すご!じゃなくて、フィギュアの選手だったの?」

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