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レッツ・ダンス

フィギュアスケートの話です。 書き始めたばかりなので、温かく見守ってください。


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気持ちいいぐらい速いね/レッツ・ダンス(#27)

「レディに対して『あいつ』は失礼だよ」
優は丸山に胸倉をつかまれながら言った。大きく頷く川口。丸山の顔は怒りで真っ赤になる。
「うっせえよ。大体、お前なんか見たことないぞ」
「もしかして海外組?」
男子練習生の一人が言った。ぎくっとする丸山。
「海外なんて行ったことないよ」
「分かった。パートナーってスケートじゃなくて、恋人?」
女子練習生の一言に、皆がどよめき、アヤメを見る。憤慨するアヤメ。噴出す丸山。丸山は優の胸倉をつかんでいた手を離した。
「何だ、そんなことか。じゃあ、練習の邪魔をせずに見てろ」
「違う、違う。アヤメにはアイス・ダンスのパートナーになって欲しいんだ」
「あいつには、俺っていうパートナーがいるって言ってるだろうが」
「怒りん棒だなあ。だからかな、あなたのスケートは楽しくない。アヤメのスケートが生きないよ」
川口の顔から一瞬笑顔が消えた。
「偉そうに言いやがって。じゃあ、あいつと滑ってみせろ」
「アヤメと滑っていいですか?」
優が川口に確認する。頷く川口。
「アヤメと滑っていいんだ!やったー!」
優が両の拳を天に突き上げる。思わず拍手してしまう練習生たち。
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世界一女性らしいスケーティング/レッツ・ダンス(#26)

本田が一人リンクに立っていた。優がジャンプを決めた辺りをじっと見ている。本田は滑り出し、その場所で跳んだ。キレイに四回転ルッツを決め、コンビネーションにしようとジャンプするが、一回転もできずに着地し、そのまま勢いで滑っている。
「無理だ」
再び集中力を高め、今度は慎重に跳び上がり、右脚を前に振り上げてから後ろに降り戻す。本田はうつ伏せに着氷してしまう。
「無理だ。やっぱ、あいつ凄い。世界と闘えるじゃないか。惜しいな…なんとかならないかな」

俺はアヤメと世界を目指す/レッツ・ダンス(#25)

「お前、あれ…」
本田は優のコンビネーションジャンプに絶句していた。優はそんな本田を見て、ニコニコしている。
「インフィニティ」
「何だ、それ?」
「ジャンプの名前だよ」
「まいったな、これは。優、俺がお前のコーチをする。世界を目指そう」
「?」
「優が小さいときに約束したじゃないか。大きな大会に出るときは俺がコーチするって」
「俺、アイスダンスすることにしたんだ」
「!?」
「ジャンプ、力強くて、とってもかっこよかった。シングルやった方がいいよ」
「決めたんだ。アヤメと滑る方が絶対楽しい」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、もったいないよ。本田さんと世界を目指せるんだよ」
「俺はアヤメと世界を目指す」

氷と遊んでるのかも/レッツ・ダンス(#24)

優とアヤメがスケート場のレストランで話している横を本田が通りかかる。
「よう、優」
「ちわっす」
優は立ち上がって、軽く頭を下げる。アヤメも慌てて立ち上がり、ぺこりと頭を下げた。
「お前、ほんとでかくなったな」
「本田さんが縮んだんじゃないですか」
「なわけないだろ。そういえば、お前こないだの大会さぼったんだって?敵前逃亡は銃殺だぞ」
「あんな奴ら敵じゃないよ」
「口ではなんとでも言えるさ。偉そうなことは結果を出してから言え」
「じゃあ、見せてやるよ」
「リンクに行こう」

優は体力の続く限り踊りつづけた/レッツ・ダンス(#23)

「探したぞ。さあ、帰ろう」
「イェッサー!」
ハズムはラジカセを持ちあげて、曲をとめた。
「俺、明日までここにいるんだけど、明日も会えるかな」
「ソーリー。私もここの人じゃないんだ。明日からUSA」
「USA…」
「日本に残れるかと思ってここに来たんだけど。だめだった」
「娘は望みが高いから」
ハズムはパパの胸にパンチを入れる。
「えらく機嫌がいいな」
「この子、優!ダンス、ヘタだけど、どんどん上手くなるし、とっても楽しんでてキラキラ輝いて見えるんだ」
「そうか、パパも見たかったな」
ハズムがラジカセを下ろそうとすると、
「ダメダメ。もう帰るよ」
「ガッデム」
「やめなさい」
「イェッサー」
「優!シー・ユー!」
ハズムはパパの腕にしがみついて去っていく。
「ハズム!またどこかで!」
ふわりと振り返ったハズムが妖精のように見えた。
「ユー!絶対だぞ!」
「絶対だ!」
ハズムはウインクをして、去っていった。優はハズムが去った後をじっと見ていた。彼には踊っているハズムの姿が見えていた。優は体力の続く限り踊りつづけた。

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